人間関係が良好になる!感情を理解して気持ちを伝えるトレーニング

質問者ママ
わが子に良かれと思って伝えているのに、いつも最後は言い合いで終わってしまいます。
コーチから「お子さんとの会話の時はどんな気持ち?」と聞かれて、
わが子に伝えている「改善点」は沢山出てきますが、
その時の自分の気持ちは?と言われたら・・途端に言葉に詰まりました。
「感情や気持ちを言葉にする」ってどうしたらよいのでしょう?
ジリ
質問ありがとうございます。
お子さんの生活態度について言い合いになる・・よくありますよね。
実際、ママ友同士でも、「うちの子反抗期だから」「あの子ってほんと〇〇〇なの・・」のような子供の「愚痴」が話題に上がります。
良かれと思って言ったアドバイス。それに対して子供が、言い訳したり逆切れして言い合いになる結末・・。
私が長~い間悩んでいたのは、「いったいどう伝えたら素直に聞くの?」ということでした。
まさに相談者ママさんと同じで、子供に見える課題点をどう改善するか?を常に意識し、ママ友とも話していました。
でも、欲しかった答えはそこにはなかったのです。

 

前回、「怒りを収める方法」でも書いたように、わが子にアドバイスをと思いながらも
結果言い合いになってしまう場合、親の頭の中には「こんな調子でこの子は将来どうなちゃうの?心配だわ・・」や、
今の状態を「良くない」「変えなくては」という考えがありませんか?
この場合は、ご自身の中の「正しさ」でお子さんを「良し悪し」の判断をしています。
もちろん評価判断が悪いという話ではありません。日常で「正しさ」が重要視されることは多々あります。
思い出していただきたいのは、普段お子さんに何かを伝えて、
素直に「ごめんなさい」「気を付けます」のように何度成功したか?ということです。
言い合い、もしくはお子さんから無視された・・という経験の多い場合、
その「正しさ」でお子さんが「非難されている」や「否定されている」と感じ、
「自分を信じてない」と悲しくなったり、がっかりして「ママに言ったって意味がない」と話すことを諦めたり、
萎縮して自分で判断出来なくっていると考えられます。
良かれと思う親からの一言が、逆に大切な親子の間に壁を作り、関係を悪くさせるなんて・・私達が願った結果ではないですね。

これまでの経験で気づいたことがあります。親子関係のみならず、
その場が安全であり安心であると感じられた時に初めて、人は相手を信頼し受け入れるということです。
そのために必要なことは何でしょうか?
それは私達親自身が、心を開くことです。その1ステップとして、私達の気持ちを伝えることが大切です。
それまで相手ばかり意識して欠点を非難することを一端お休みさせて、自分の内側で起きていることに関心を向けます。
具体的には、その時の自分自身の感情に注目して、名前を付けて、良し悪しの判断をせずに、感情のみ味わってみます。
なぜその感情が沸いてきたのか?例えば、自分が軽く扱われて悲しかったなどと、シンプルな言葉にして、相手に伝えるのです。
最後に実例を挙げていますが、私自身が家族にこれを実践していて、感情的にならずに伝えられ、
相手も素直に受け取ってくれてお互いを分かり合えることが多いのでお勧めです。


社会では「感情的になるな」という言葉があるように、感情に振り回されたくはないですが、一方で私達は、無意識に感情を良くないものとして蓋をして我慢することがあります。

良し悪しの解釈を外す為に、今回は「感情の輪」という図をご紹介いたします。

それぞれの感情を理解しよう

8つの基本感情で構成される「一次感情」

現代では、「感情」を知って言葉にするための色々なアセスメントがあります。
今回は、感情の種類についてわかりやすく説明されているものをご紹介します。
これは自分の感情に名前を付けるための一例と考えてください。

1980年に、アメリカの心理学者ロバート・プルチックが提唱した、色彩立体の感情モデル「感情の輪」があります。
これは「感情」の種類を色分けし、その強弱をグラデーションで表しています。そして、動物と人間が持つ感情と、
人だけが持つ混ざり合う複雑な感情を、花びらのような図や立体図によって表しています。
この図を参考にしながら感情を読み解いていきましょう。

「感情の輪」では、「怒り・嫌悪・悲しみ・驚き・恐れ・信頼・喜び・期待」の8つを「基本感情」と表しています。
中心部に行くほどに色濃くなっていますね。これは、感情が強く変化していくのを表しています。
感情が弱いと隣の感情に移行しやすいのですが、
強くなればなるほど、他の感情への移行が難しくなります。

基本感情は、動物・人間共に持ち、「一次感情」と呼ばれています。
二つ以上の基本感情が、同時に現れて混ざるのを「二次感情」と呼びます。
この「二次感情」は動物にはない人間特有の複雑な感情です。

「感情の輪」

「基本感情」

ポジティブ→喜び・信頼 中立→驚き・予測
ネガティブ→恐れ・悲しみ・嫌悪・怒り

基本感情をネガティブポジティブ中立と言葉にすると、「ネガティブ=良くないもの」と考えがちですね。
しかし、動物的な感情である「一次感情」と考えれば、ネガティブな感情はむしろ、危険なものを回避したり戦ったりと、
「生存本能」で私達を守るための大切な感情とも言えます。
私達もまた自然なものとして「感情を素直に受け止めて感じきる」ことができたらどうなるでしょうか。
私は、長い間父との関係が良くありませんでした。私の結婚と同時期から父は倒れ、長い間の介護を経て亡くなる少し前に、
父と対面してお互いの気持ちを伝えあうことが出来、父の死を家族と共に悲しみ切ることが出来ました。
長い間の拗れた親との関係からわかったことは、嫌悪や怒りは、自分の大切にしていることを否定されるような痛みからくるものであったこと。そして悲しみは、「大切なこと・大切な人」と「私」をつなぐための大切な感情だったと気づくことが出来ました。
嫌悪も怒りも、悲しみもまた感じ切ることが出来て、その感情の奥にある大切なものを言葉にすることで、少しずつ前に進めることができたと感じています。(その話はまたお話したいと思います。)

「対」になる感情

8つの基本感情は対になっていて、反対の感情とは、簡単に移行しないことを表しています。

喜び⇔悲しみ
信頼⇔嫌悪
恐れ⇔怒り
驚き⇔期待

過去を振り返れば、失恋をした時や、父を亡くした時に悲しみを感じながら、喜びの感情は現れなかったし、
嫌悪を感じている同僚を信じて仕事をお願いする・・私には不可能でした。
感情の移行の例を挙げると、純粋に感情を表す赤ちゃんはどうでしょうか。泣き止まない赤ちゃんを泣き止ませるものとして、反町隆史さんの曲や、TVCMの「タケモトピアノ」の曲が良く紹介されています。
先日TVで反町さんの曲で本当に泣き止むかの検証をやっていたのを見ていましたが、音のほうを不思議そうにじっと見つめながら泣き止み、その後笑う感情の変化を見ることが出来ました。
お子さんが泣きやまない時に「あー悲しいんだなあ」と気持ちを大切にする前に、自分にも意識を向けて「私は予測通りにいかずいらだって責めたくなってるなあ」とそれぞれの感情はあるものだと良し悪しの評価をせずただ寄り添ってあげてください。

混ざり合う多種ある感情は「二次感情」

プルチックの感情の輪では、人間特有の感情として、2つ以上の基本感情が同時に起こることで、混ざり合って二次感情が生まれるとされています。
それは隣り合う感情だけでなく、1つ・2つ飛ばした感情同士や、3つ4つと複数合わさることもあるそうです。
人間の感情は、他の動物と違い複雑に混ざり合うからこそ、高次な感情ともいえる反面、
そのせいで自分の感情が理解が出来くなり、感情に振り回されることがあるとも考えられます。

今回は感情の輪の隣同士・一つ置きの二次感情を例を共にご紹介します。
図の見方は、色分けされているものが混合される基礎感情を表しています。2つの混合される二次感情の名前と意味が各色に書いてあります。
★図を詳しく見たい場合は、図をクリックすると拡大してみることが出来ます。
戻りたい場合は、戻るボタンを押してください。★
図1:隣同士の感情

①「怒り+予測=攻撃」
過去の私が頻繁にやっていたことです。私は当時、自分の中の「常識・正しさ」に縛られていました。家族を問題だと感じると瞬間湯沸かし器のように怒り、「そんなことしてるとこうなるに違いない!!」と相手の行動を徹底的に非難し攻撃していました。
②「喜び+信頼=愛」
自分を探求すると同時に周りの違った視点を知り、私を縛る「すべき」や「正しさ」の呪縛を手放している今では、子供の経験することは全て必要なことだと考えるようになりました。すると、「あなたたちは大丈夫」と子供達を信頼する気持ちが大きくなり、彼らが経験する悔しい・悲しい出来事も含め共感しながらも口出しはせずに彼らの気づきを待って、彼らの口から解決策を聞くことが多くなり、喜びを感じるようになりました。今ダンスを頑張っている娘が、育成チームの難しくハードなレッスンが終わる度に泣いて「また出来なかった。みんなうますぎるんだもん。好きなダンスを嫌いになりそうで苦しい・・」と感情を爆発させる時も、その経験が彼女の学びになっていることを確信してどっしりと構えて聴いてあげることが出来るようになりました。

図2:1つ置きの感情

①「驚き+信頼=好奇心」
例:あなたが、子供の想定外の行動に驚かされたとします。公園に遊びに来たのに、気づいたら水溜まりの中をずっと覗き込んでいます。
その行動で子供が何かを学んだり成長するための経験だ、わが子は大丈夫だと信じていられる時は、
子供の言動に興味を持ち「この子を夢中にしているものは何?どんなものに、ワクワクしてるの?」そんな「好奇心」から問いかけることができます。
子供はあなたからの信頼を感じて、問いに素直に答えてくれますね。
②「驚き+嫌悪=憤慨」
例:急いで帰りたいのに、駄々をこねてその場所から動かなくなってしまった時などは、親も心の余裕がなくなり強くいってしまうことがありますよね。
穏やかに言い聞かせても、以外なひどい言葉で子供が抵抗したり、暴れたことに「驚き」、子供の言動をダメなものと「嫌悪」し、思い通りに帰宅出来ないことで「憤慨」して感情的にきつい言葉を言ってしまいます。
③「喜び+恐れ=罪悪感」
私はすごく納得しました!一番に思い浮かんだのは、「ダイエット」です!!
甘いお菓子の誘惑に負けて食べた時の喜びと、「あーまた太ってしまう」という恐れが、結果食べてしまったことへの罪悪感を作りますよね・・・。

ここでは一例をあげました。是非みなさんの日常で心がざわついた時や、うきうきワクワクしている等、心が動いた時には、目の前の相手から自分に矢印を向け直して、感情に名前を付けてみてください。

感情の実況中継トレーニングをする

先日中学生の息子の夏休みの宿題で、モヤッとすることがありました。
夏休み最後の日の夜遅くに、残っていた日記をまとめてやっていたのです。
カレンダーを見ながら、きちんと記憶を記録しようとしている姿に、
ギリギリだけど、彼なりにやり遂げようしているんだなと感じました。
しかしふと見ると、唯一家族で出かけた、国立科学博物館の特別展の日を見ると、
字も間違えている上読めないし、なんだか適当にやっているな・・と私には思えたので、瞬発的に強く注意をしていました。
「なんで字を間違えたくらいで、そんな言い方されなきゃいけないの?じゃあ聞くけどさあ、ママは間違えないのかよ?」
私のきつい言い方にムッとした息子が言い返しました。
そこで、以前の私ならば、「何言い訳いってんの!!」と計画的にできなかったことや、
「字を丁寧に書かないのは、やる気がないからだ!」などと、油を注がれたように火がついて彼へのダメ出しのオンパレードになったことでしょう。

その時私は、子供のその言葉に
「ほんとだ・・・間違えは人間誰しもあるのに、ムキになってたね。
胸のあたりにある・・このもやもやはいったいなんだろう?」と言葉に出しました。
息子も先ほどまでのムカッとした態度を引っ込めて、「それって・・ムッとした感じ?」と聞いてきました。
「う~ん、ちょっと違うみたい・・あ、今・・がっかりした、とか、不安だとかが浮かんでたよ」と答えると、
「それってどういうこと?」と息子がさらに聞いてきました。

ジリ
ジリ
家族で唯一の夏の外出の思い出で、私にとってとても良い学びになった展示だったの。
それを適当に書かれた!と感じて、なんだか悲しかったんだ。きっとあなたに同じような気づきや学びの期待をしてたのかもね。
あとは、夏前に悪かった成績表みてがっかりして、秋テストでは絶対伸ばせるように頑張る!と言っていたのに、
夏休みの宿題を適当にやってるのかな?とこの宿題やちらかった机を見ていて、ママが思い込んで勝手に心配になってたみたい。
ママはあなたを信用出来ずにママのやり方をすべきと押し付けようとしてたって今気づいた。ごめんね。
息子
息子
そっか、僕にとっても大切な思い出だし、それなりに楽しんだ展示だったよ。
ママの気持ちをがっかりさせる態度だったんだね。ほんとそれはごめん。
でも、宿題に関しては、自分なりに頑張ったつもりだし、めんどくさいとかは思ってないんだよ。確かに机は汚いけど。でも、色々言わずに信じてほしいと思った。

そんな会話で、喧嘩もせず、わかりあえて終わりました。

告白すると、このように常に成功するわけではありません。
私もついつい家族を責めるようなことを言う時もあります。
その時の自分を振り返れば、怒りがこみ上げると、それを隠す為に自分が怒る正当と思える理由を探し、言葉を投げつけていました。
やってしまったことで、落ち込むのではなく(あー・・今私は今ややこしくしてるなー)
ともう一人の視点を持ち、怒った正しいと思える理由はとりあえず横において、動いた感情を理解して受け入れます。

前述したように、8つの基本感情の感情は、中心にいくほど、感情が強くなっていきます。
人との関わりで突発的に基本感情が現れる度、感情をちきんと理解して受け入れることが出来ると、
感情に振り回されずに、他のポジティブな感情にも移行しやすくなるわけです。


うまく出来ない時もあるので、感情的になっても「ダメだ」と落ち込まずに、
その場を離れたり、時間をおいて落ち着いてから自分の感情を受け入れた後で、相手に伝えればいいやと気楽に考えましょう。

まとめ

クライアント様とのセッションで気づいたのが、多くの方が、ご家族に対して
「言ってもわかってくれない。変わってくれない」や
「そんなことまで言わなくても察して!!」と、「空気を読め」的な願いを
頻繁に相手に送っていると感じました。日本の文化「空気を読む」も、
近しい間柄だと「わかって当たり前」という行き過ぎた思い込みにもなりますね。
怒ってるのかなあ~と顔色をみて相手が感じたとしても、それがどんな気持ちなのか?なんて
本人にしかわからないものです。同じ「空気を読む」ならば、私は家族に「あなたを信じているから自分を信じてね」というどっしりとした空気を感じてもらいたいです。
プルチックの感情の輪を見て、初めて「自分の感情はこういうことなのか!」と腑に落ちた方もいると思います。
こんなにも複雑な感情を持つ私達人間は、ネガティブな感情で感じる「心の痛み」を怖がったり、感じることを恥ずかしいことと思い、
蓋をする結果、感情を感じられなくなることもあります。
そうならないために、今日の「感情」については、プルチックの感情の輪を参考に紐解きました。

1.感情には8種類の基本感情があり、動物も人間も持つ生存本能に準じた大切なもの。
2.人間は基本感情が二つ以上混ざりあい、多種な感情が生まれる。
3.対になる感情は移行しにくい。
4.感情が強く表れる前に、胸にある感情の正体を知って感じきることが大切
5.相手と良好な関係でいるために、正しさを押し付ずに、感情・気持ちを実況中継のように伝えていくトレーニングをする。
6.感情的になっても、落ち着いたら、自分の感情を理解して受け入れ、相手に伝える。

相手に伝わるように、まずは自分で言葉にしていくトレーニングをしましょう。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

あなたらしい、幸せな人生を送るための
小さな気づきになれたらうれしいです。

相談したいこと、質問などありましたら、
コメント欄にご記入ください。
ご意見、ご感想も大歓迎です。お気軽にお寄せください。

皆さんとお話出来ることを楽しみにしております。

関連記事

RELATED POST

この記事へのコメントはありません。

PAGE TOP
MENU
お問合せ

TEL:090-1261-7053

(月 - 金 10:00 - 18:00 セッション中は対応できません)